アメリカが2016年内にISIS(イスラム国)を壊滅させる計画があるというニュースを配信した時に見慣れない表現がありました。
文脈としては、イスラム国を壊滅させることは可能だが、追い詰められるとやけくそ気味な過激なテロに走る懸念があると言った流れです。
Although officials say there is no political motive to end ISIS, it would be seen as a feather in the cap of President Obama’s time in office before he steps down.
当局者はISISとの戦いを終わらせることに政治的動機はないというものの、オバマ大統領が退任する前の在任中に、追加の業績を見ることになるかもしれない。
オバマ大統領はこの時点で退任が決まっており、国内の人気取りのためにやる政治的な理由はないけれども、もしイスラム国を壊滅させたら追加の功績になる、といった流れです。
この「追加の功績」にあたるのがfeather in the capになります。
feather in the cap
言葉をそのまま読むと「feather(羽)」のついた帽子のことで、辞書には「誇りとなるもの、自慢の種、手柄、立派な業績、名声[栄誉]の印」と書かれています。
feather in one’s capのようにその帽子の所有者を入れる場合もあります。
スティーブとこの表現について話し合ったのですが、ニュアンスとしては帽子そのものがすでに立派で、そこに羽がつくとさらに見栄えがする、といった意味だそうです。
ニュースにあるようにオバマ大統領は退任が決まっているので、国内向けの人気取りのためにイスラム国を壊滅させる政治的な動機はありません。
しかもオバマ大統領は今までに過去の功績があり、すでに立派な帽子をかぶっています。
そこにイスラム国壊滅の功績がつくと、羽がついてさらに豪華に見えるかもね、といった意味で、おそらくオバマ大統領がイスラム国壊滅をしなくても、文句は出ない(おそらく次の大統領の仕事)だろうという話です。
はじめての功績
したがって「誇りとなるもの、手柄、立派な業績」を指すけれど、はじめてのものにはあまり使わないそうです。
例えば私が宝くじで1億円あてた場合にはfeather in the capとはいわないけれど、その翌日に1000万円をさらに当てたらこちらはfeather in the capと呼ぶかもしれないといった感じです。
何か十分な功績・実績があって、そこに追加で何かあるとより立派なものとして見栄えがするといった感じの表現になります。
日本語でいえば「箔がつく」といった意味が近い言葉でしょうか。
先日、メジャーリーグでイチローが3000本安打を記録しましたが、イチローはすでに記録を多くもっているので、これはfeather in the capといえます。
しかしイチローのメジャー1年目の新人王やその他の記録・業績をfeather in the capと判断するかは人によって見解がわかれるところです。
日本での功績をすでに成功した業績と考えるか? また1年目のシーズン中の活躍を成功と考えてシーズン最後に勲章としてタイトルを獲得したと考えるかで、判断がわかれる部分もあるそうです。
最後に例文を書いておきます。
Jackie Chan’s Academy Award is a feather in his cap for a long career in motion pictures.
(ジェッキーチェンのアカデミー賞は、彼の長い映画の経歴の中で、さらなる業績だ)
ジャッキーチェンにアカデミー賞の名誉賞(功労賞)が贈られることが決まりましたが、これもジャッキーにとってはアカデミー賞がなくても、今までのキャリアを考えると十分な功績です。
そこにアカデミー賞を獲得すれば、さらに立派に見えるねといった意味が成立します。
同じく羽に関連した表現ではknock me over with a featherもあるのであわせてご紹介しておきます。