assist(アシスト)は動詞で「支援する、力を貸す、手伝う」の意味があります。スポーツの用語では名詞でアシストがありますが、基本的には名詞の支援・援助はassistance(アシスタンス)が使われます。
helpとはかなりの部分で意味が重なりあうので置き換えても問題ないケースもあります。しかし言葉の雰囲気や感じさせる内容、ニュアンスに明らかな差があるので、ネイティブスピーカーに意見を聞いてみました。
ここでは動詞のassist、名詞のassistanceの使い方をそれぞれ、helpとの違いを中心にまとめています。aidについては『「aid」「aide」の意味と使い方、helpとの違い』もご覧ください。
この記事の目次!
assist(アシスト)の意味と使い方
動詞で「手伝う、手助けする、援助する」を意味します。基本的にはassist(アシスト)は動詞で使うものだと考えていいと思います。
My mother assisted me in choosing a dress.
母がドレスを選ぶのを手伝ってくれた。
This software can assist you in filing your taxes.
このソフトはあなたが税金を提出するのを助けてくれる。
スポーツでのアシスト
assistを名詞で使うのは主にスポーツなどでの「アシスト」です。サッカーのボールやアイスホッケーのパックなどをチームメイトの得点につながるようにパスすることです。
He leads the league in assists.
彼はアシスト数でリーグの首位だ。
Johnson scores a goal and Anderson gets the assist.
ジョンソンはゴールをきめ、アンダーソンがアシストする。
このスポーツでのアシストがスポーツ以外の場面でも比喩的に使うことができ、重要な状況においてちょっとした手助けをする行為を表します。
この使い方はあくまでスポーツに例えた比喩的な表現であって、「援助・支援」という意味での名詞は後にご紹介するassistance(アシスタンス)です。
Thanks for the assist during my presentation.
プレゼン中にアシストしてくれてありがとう。
helpとassistの違い
helpも「手伝う、助ける」という意味ですが少し違いがあります。感覚的な部分もあるのでネイティブスピーカーの意見として参考にしてください。
まず言葉の持つ雰囲気として「help」はカジュアル、フォーマルどちらの状況でも使える言葉ですが、「assist」はフォーマル、かしこまった言葉なので状況によっては使うと変になります。
例文を比較してみます。
〇 Can you help me move that sofa?
△ Can you assist me in moving that sofa?
あのソファーを動かすの手伝ってくれない?
この場合はhelpが一般的な言葉遣いで、assistは状況的にわざわざソファを動かすことに対して使うのはちょっと変に聞こえるそうです。
〇 The FBI asked Apple to help them in their investigation.
〇 The FBI asked Apple to assist them in their investigation.
FBIはアップルに調査を手伝うように頼んだ。
この場合はあらたまった状況なので、helpもassistもどちらも自然な使い方になります。
assistの補助のニュアンス
またもう1つhelpとの違いがあり、assistには誰かが何かをしているとき、必要とされなければほとんど後ろに控えていて、必要なときだけときどき手伝うといったニュアンスがあります。
◎ The famous surgeon had two students assisting him.
○ The famous surgeon had two students helping him.
有名な外科医には彼を手伝う2人の学生がいた。
有名な外科医はおそらく学生の手伝いをほとんど必要としないはずです。
学生たちは器具を手渡したり装置を扱ったりといったことをする程度の「補助」であり、ほとんどは手術を見ているような状況です。この場合はassistのほうがhelpよりふさわしいです。
helpを使うと、この外科医はおそらく学生たちを必要としていると感じさせます。何らかの事情で外科医ができないために学生たちは多くの仕事をしている可能性が高いです。
例文によるassistとhelpの違い
上の項目で登場した「母がドレスを選ぶのを手伝ってくれた。」の例文についてのニュアンスも確認しておきます。
My mother assisted me in choosing a dress.
My mother helped me choose a dress.
母がドレスを選ぶのを手伝ってくれた。
この場合はどちらもオッケーの可能性が高いです。母親がアドバイスをしたりすすめたりして娘がドレスを買うのを手助けしています。
しかし母親は娘がドレスを選ぶのをほとんど後ろで見ていて、たまにアドバイスなどで手助けをするというようなより正確な状況を表現するなら、どちらかというとassistのほうがふさわしいと言えます。
ただし動詞をchooseではなくgetに変えると、以下のようなニュアンスに変わります。
My mother assisted me in getting a dress.
My mother helped me get a dress.
assistはおそらく母親はアドバイスをしたりすすめたりしていると読めます。
helpは母親がドレスのお金を出した、娘を店まで車で送ってあげた、アドバイスを与えたなどの多くの可能性を感じさせます。
assistanceの意味と使い方
名詞で「援助、支援、補助」という意味ではassistance(アシスタンス)が使われます。
Staff can offer assistance to disabled customers.
スタッフは障がいのある客に支援を提供できます。
Are you in need of any assistance?
Do you need any assistance?
援助・支援が必要ですか?
I asked the staff for some assistance.
私はスタッフにアシスタンスを頼んだ。
Please press 1 for further assistance.
さらなる支援には1のボタンを押してください。
最後の例文は「お困りの際には1を押してください」のような機械やホテルの電話などで見られる表現です。
helpとassistanceの違い
これも動詞の違いと同じことがいえ、assistanceのほうが雰囲気としてフォーマルです。置き換えても問題ないケースもあります。
Staff can offer help to disabled customers.
Are you in need of any help?
(置き換えても問題はない)
しかし、言葉の雰囲気として一般的ではないものもあります。
Please press 1 for further assistance.
△ Please press 1 for further help.
さらなる支援には1のボタンを押してください。
上の例文でhelpを使うのは間違いではありませんが、ビジネスシーンの決まり文句的な要素もあって「further assistance」が好まれます。
また明らかに感じさせる内容・ニュアンスが異なってしまうケースもあります。
He asked the police officer for help.
He asked the police officer for assistance.
彼は警察官にヘルプ/アシスタンスを求めた。
この場合のhelpは危険にあって助けを求めている強い感じがします。assistanceを使うともうちょっと気軽な感じで道を聞いたりしたのかなといった雰囲気になります。