アメリカではmold、イギリスではmouldと書かれる単語の意味は大きくわけると食べ物などに発生する「カビ」と、工場やお菓子などの「型」として使われます。
「カビ」での意味はいたってシンプルな使い方になりますが、「型」のほうは比喩や熟語に用いられるので意味を知らないと何を指しているのか分かりづらいです。
「型」の意味では動詞での使い方があります。スペルはmold / mouldで違いますが発音は同じ【móuld】です。
mold / mouldの名詞での意味と使い方
梅雨など湿った時期になると食べ物などに発生する「カビ(黴)」のことです。「型」の意味とは完全に語源が違うので無関係の言葉が同じ文字になってしまっているだけです。
カビ・型のどちらの意味で使ってもmold / mouldは発音も同じで、意味の差もないのでどちらでもかまいません。
There is mold all over this bread.
このパン全体にカビが覆っている。
We can’t clean all the mold off of the shower.
私たちはシャワーのカビを全部きれいにできない。
She found a pale green mold on the bread.
彼女はパンに薄い緑のカビを見つけた。
型(金型、鋳型、お菓子用)
もう1つのモールドといえば、何かを形作るときの金型、鋳型、お菓子用などの「型」を指します。同じスペルで別の単語です。
工業関係に詳しい人なら「モールド」でそのままカタカナで使っていると思います。カタカナで発音を書くなら「モウルド」のほうが近いです。
If you pour the cake mix into the mold, it will be shaped like a turtle.
ケーキミックスをこの型に注いだら、亀のような形になるだろう。
His company designs molds for steel factories.
彼の会社は鉄工場に金型をデザインしている。
mold / mouldの動詞での意味と使い方
mold / mouldは動詞では何かの形をつくることを指します。この場合、手作りであっても金型などを使ってもどちらもOKです。
ニュースでは一度「寿司を握る」という行為もmold / mouldが使われていました。
The rubber has been molded into a tube.
ゴムがチューブの形になった。
My daughter molded the Play-Doh into a cat.
娘が粘土で猫を作った。
I molded the Play-dough into a spherical shape.
私は粘土で球を作った。
Play-DohまたPlay-doughは子供用の粘土として広く知られています。正確には商標ですが一般名詞のような扱いを受けます。
比喩的な使い方
型を変えるといった意味で比喩的に使うことがあります。物理的な力で物体をつくるのではなく、人格などを形成する行為です。
このあたりは日本語とも共通の感覚が見られます。
日本語だと「型にはめる」には強制させているニュアンスが強くなりますが、英語ではchangeぐらいの程度であって特に無理に押し付けている感じはないそうです。
This school molds young boys into respectable men.
この学校は若い男の子を立派な大人に変える。
She became president of the country to mold it into a leading nation.
彼女はこの国を一流の国家にするために大統領になった。
break the mold(型破り)
古い型を破る、新しいものを創造する、などの意味で過去にやってきたやり方を変える時につかわれます。
日本語にも「型破り」という言葉があるので、言葉が生まれた起源は違うかもしれませんが結果的に同じような表現が生まれています。
Donald Trump has broken the mold of American politics.
ドナルド・トランプはアメリカの政治の型を壊している。
His new program breaks the mold of interview shows.
彼の新しい番組は、インタビュー番組の型を壊す。
They broke the mold when they made you.
(*あなたは特別な人だの意味)
最後のtheyは神様のようなもので、神様があなたを作ったときにあなたを作った型(金型のようなものを想像するとわかりやすいです)を壊した、つまり他には同じような型の似た人がいないほどユニークで特別な人だといった意味になります。