カナダ人のスティーブが「たまに日本人のpoliteの使い方が変だと思うよ」と言っていたので「そうかな? 特に疑問に思ったことはないけど。そんなに難しい言葉とは思わないし」と私は答えました。
するとスティーブが「では、おまえにとってpoliteとはなんだ?」と質問してきたんですよ。
日本語でいえば「丁寧、礼儀正しい」感じですが英語で説明しようにも、あらためて言葉にすると難しいですね。相手に対しての敬意を動作で表して伝えている? みたいな雰囲気ですがしっくりきません。
今回はpoliteの英語での使い方を取り上げてみます。使い方は例文を参考にしてください。
politeの意味と使い方
冒頭に書いた「日本人のpoliteの使い方が変だ」については、ある日本人の女性がこういったそうです。
Wash something politely.
(丁寧に洗ってと言いたかった)
シルクやカシミアのような繊細な素材や、割れやすいお皿を「丁寧/慎重に洗って」といった意味だったんでしょうが、これは英語としては意味がわからないそうです。
おそらくそれを言うなら「gently(優しく、穏やかに、徐々に、なだらかに、そっと)」か「carefully(注意深く、丁寧に、慎重に、入念に、じっくりと)」です。
Wash something gently.
= Wash something carefully.
丁寧に洗って。
この2つはほぼほぼイコールと考えても問題なく、この意味ではpoliteについては「礼儀正しい」と覚えたほうが間違いがなさそうです。日本語でも「丁寧」「礼儀正しい」は似ていますが、イコールというわけでもありません。
しかし以下のような例文の場合は日本語だと違いがわかりにくいです。
I wrote a polite letter.
私は丁寧な/礼儀正しい手紙を書いた。
この場合の英文が指している内容は「言葉遣いが丁寧な手紙、礼儀正しい手紙」です。きっちりした言葉遣いの手紙を書いたことなので日本語とも近いですね。
rudeとpolite
例えば例文を比較することでpoliteの意味を浮き上がらせてみます。
He is rude but gentle.
彼は不作法・無礼だけど優しい。
上の例文は意味として成立しておりrudeとgentleは両立できます。彼は「thank you」や「please」といった言葉を使わないけど他人に優しいような人です。
He is rude but polite.
(概念として成立しない)
しかし上の例文は英文としては不可能、概念として相反する反意語になるので基本的には成立しないものです。
丁寧と礼儀正しいの違い
もう1つ例文で考えてみます。ケーキを「丁寧に」食べるという表現です。
He ate the cake politely.
彼はケーキを礼儀正しく食べた。
彼はナイフとフォークを使い、背筋をピンと伸ばして、周囲を汚さずに食べたことです。日本語では「礼儀正しい」の意味です。
He ate the cake gently.
彼はケーキを丁寧に食べた。
gentlyの場合は彼はゆっくりと、やさしい感じで、ケーキを崩さずに食べたような感じです。日本語では「丁寧に」と考えてもいいと思います。
このように日本語に引きずられると微妙に間違った使い方をしてしまう単語でもあります。