translate(翻訳)とinterpret(通訳)の違い

translate(翻訳)とinterpret(通訳)の違い
 

公開日: 最終更新日:2020.04.23

一般的な考え方としてはtranslate / translationは「翻訳」であり、主に書き言葉や文章をある言語からある言語に変えることに対して使われます。

一方のinterpret / interpretationは「通訳」であり、話し言葉を別の言語に置き換える行為に対して使われるのがベースとなる考え方です。

この理解でも間違いないと思いますが、ネイティブの意見や実際の事例を交えながらもう少し掘り下げて考えてみることにします。

translateとinterpretの違い

日本の業界でも「翻訳者」と「通訳者」は明確に区別されているそうで、先に説明したように話し言葉と書き言葉の区分けです。

例文

Haruki Murakami translated The Great Gatsby.

村上春樹は『グレートギャツビー』を翻訳した。

例文

△ Haruki Murakami interpreted The Great Gatsby.

(表現としてちょっと変です)

例文

I translated for the ambassador when he visited Japan.

私は大使が日本に訪問した時に翻訳をした。

例文

I interpreted for the ambassador when he visited Japan.

私は大使が日本に訪問した時に通訳をした。

上の例文では大使の言葉を通訳したという意味では「interpret」のほうがより良い適切な表現ですが、この場合に「translate」が変ではありません。

専門家や業界人は別としても、日本語でも「翻訳」「通訳」が曖昧になるように英語もがっつり使い分けしているわけでもないそうです。

例えば旅先で言葉が通じなくて困って「通訳(翻訳)できる人を探しています!」と言いたいときにはtranslator/interpreterどっちを使ってもOKです。

translateの方が広く知られていますが、会話または文章で適切な表現が変わります。

例文

A translator has to have strong writing skills.

翻訳者はしっかりとした書く技術を持たないといけない。

例文

An interpreter has to translate on the fly.

通訳者はその場その場で翻訳をしないといけない。

メガホン型翻訳機? メガホン型通訳機?

メガホン型の翻訳機「メガホンヤク」と呼ばれる機械があります。イベントや空港、交通機関での誘導などに使われます。

成田空港ではすでに導入されているパナソニックの製品で企業や公共機関向けに作られています。実際に使用している動画があります。

この形状から話した言葉を自動翻訳してくれるドラえもんのひみつ道具のように見えますが、実際には自由文の翻訳はできず、事前に登録された300の文章を音声キーワードで照会して拾い上げてくるイメージです。

WiFiでクラウドに接続しており、頻繁に変わる数字の部分や、新しい言葉などの追加にも対応できる柔軟性はあるようです。

実際にアプリ『ざっくり英語ニュース!StudyNow』の中で配信されたニュースを抜粋します。

例文

This device will translate and announce certain phrases that are spoken into it from Japanese to English, Chinese, and Korean. However, the Megaphone Translator must have the phrases set up in advance and cannot translate on the fly.

この機械は特定のフレーズを翻訳してアナウンスするもので、機械に向かって話された日本語が英語、中国語、韓国語になる。しかしながら、メガホン翻訳機は前もってフレーズをセットしなければならず、臨機応変な翻訳はできない。

ニュース文ではメガホン型の「translator」としていましたが、先に書いた説明に従うならば、会話を別の言語に置き換えている以上は「Megaphone Interpreter」のほうが適切ではないのか? といった疑問が浮かびます。

これに対してのカナダ人のスティーブの見解では、このメガホンは登録された言葉を置き換えるのみの能力しかなく、形としては音声になっているものの、実態としては文章翻訳に近い性質のものだという判断です。

interpret(通訳)とは、相手の言葉の大まかな意味をとって伝えることです。

話し手が「う~ん、あの、この件に関しては正解だと思います」といった場合は、「う~ん、あの」などいちいち訳していたら間に合わないし、主題は「この人が正解だと思っていること」と伝えることにあります。

一方でtranslate(翻訳)は小説の登場人物が「う~ん、あの、この件に関しては正解だと思います」と言ったら、この「う~ん、あの」を含めて別の言語に正確に置き換える作業です。このあたりの境界線は曖昧ですが、ベースのところで似て非なる行為です。

これは次に紹介するtranslateとinterpretの固有の意味を見るとよりはっきりします。

interpretの意味と使い方

interpretの「通訳する」以外の意味での使い方を取り上げてみます。

基本的には異なる言語や様式、媒体などにおける考えの意思疎通を表します。通訳とはいうものの例えば「手話(Sign Language)」などで伝えることもinterpretの範疇に入ります。

日本語としては「解釈する」「(文芸作品などを)読み取る」という意味でもいいと思います。以下のような日常生活でも使う可能性がある表現です。

例文

I interpreted the story as a criticism of religion.

私はその物語が宗教への批判だと読み取った。

例文

I interpreted his look to mean he wanted to go to the bathroom.

彼の様子は彼がトイレに行きたかったのだと解釈した。

例文

The newspaper interpreted the data wrong.

その新聞はデータが間違っていると解釈した。

例文

There are many different ways to interpret that song.

あの歌を解釈する多くの異なる方法がある。

interpretationの意味と使い方

名詞ではinterpretationになります。「翻訳、通訳、解釈、解明、演奏、演技」など幅広い意味があります。

まず何かの意味に対する理解のことで「解釈」の意味があります。これは日本語の「解釈」に近い考え方です。自分にとっての受け止め方といったものです。

例文

The newspaper’s interpretation of the data was wrong.

その新聞のデータの解釈は間違っていた。

例文

There are many different interpretations of that song.

あの歌には多くの異なる解釈がある。

「あの歌は別れを暗示してるんだよ」「いや、震災への追悼だよ」など多くの人がその歌の意味について違う考えを持っているということです。

そこからさらに、独自の解釈による「演奏、演技」などを指します。誰かに解釈されて、それが新しい作品として異なる言語や様式、媒体などで外に出されたものです。

例文

The movie is a modern interpretation of Shakespeare’s Hamlet.

その映画は現代解釈版シェイクスピアのハムレットだ。

例文

There are many different interpretations of that song.

あの歌には多くの異なる演奏(アレンジ)がある。

原曲のコピーではなく、原曲を自分なりに解釈して、そのアーティスト独自の表現で表現されたものです。

translateの意味と使い方

translateには「翻訳する」の意味以外にも「変換・転換・換算できる」のような意味もあります。

例文

The appearance of the product in a movie translated to more sales.

映画の中でのその製品の登場が、さらなる売上に変換された。

例文

Working hard does not always translate into success.

懸命に働くことが常に成功になるわけではない。

戸田奈津子問題

映画の字幕翻訳の大家、戸田奈津子さんのインタビューがBuzzFeedに出ていました。ブラウザで開き直すと読みやすいと思います。

【インタビュー】字幕翻訳者・戸田奈津子さん「エッ?と思う字幕は、どこかおかしいの」(BuzzFeed)

ネットでも誤訳が指摘されることが多く、打線を組まれたりします。

個人的には義勇軍をボランティア軍と訳そうが、その星の宇宙人をローカルの星人と訳そうが、それは根本的なところでは問題ないように感じます。翻訳の精度の問題はもちろんありますが、戸田奈津子さんがその言葉を選ぶならば、1つの正解であり、スタンスの問題です。インタビューを読んでもわかりますが、彼女なりのポリシーや指針、美学が語られています。

字幕翻訳とは「翻訳(translate)」といいつつも、映画字幕は文字数制限があり意味を伝える「通訳(interpret)」に近いものだと想像します。だから、意味さえ同じまま交換できていれば個々の言葉の選択についてはあまり興味がありません。

しかし戸田奈津子さんが問題だと思うのは、『ロード・オブ・ザ・リング』のときにも話題になった、映画監督が伝えようとしたストーリーの意味合いやキャラクター造形をまげるような字幕をする点です。

こっちはけっこう問題というか、interpretできていない感じがします。大きな問題ですが戸田さんはインタビューでは指摘を認識していないように読めてしまいます。

Rosetta Stone(ロゼッタストーン)

ロゼッタストーン

写真は有名な語学サービスの名前にもなっている「ロゼッタ・ストーン」です。今でもロンドンの大英博物館(入場無料)に行けば実物を見ることができます。

発見された時に3つの異なる文字「ギリシア文字」「古代エジプト語の民衆文字(デモティック)」「古代エジプト語の神聖文字(ヒエログリフ)」で、どうやら同じ内容が書かれているのだと推測されました。

結果的にロゼッタ・ストーンの発見によって謎が多かった神聖文字/ヒエログリフを解読する手がかりとなったという話です。ここから派生して慣用的に「謎を解明するための決定的な鍵」という意味で使われることがあります。

もともとはどう考えてもエジプトの所有物なので、ずっとエジプトは返せとイギリスに言っていますね。というか大英博物館によその国のものが多すぎて歴史の闇を感じます。



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