dull(ダル)は何かの動作が鈍かったり、切れ味が悪かったり、話がつまらなかったりといった遅くどんよりしたイメージのある言葉です。偶然ですが日本語の「だるい」にイメージが似ています。
このイメージが幅広く、さまざまな状況に使われるため、訳の種類としては非常に多く感じます。しかし根本的なイメージと共通するものがあります。
基本的には形容詞で「にぶい、退屈な」の意味で使われますが、動詞で「弱くする、にぶくする」といった使い方があります。
発音は【dʌ́l】なので読み方は「ダル」が近いです。ドゥルではありません。
dull【dʌ́l】
切れ味の悪い・なまくらの
鋭利ではない、切れないことで「切れ味の悪い、なまくらの」といった意味です。刃物などに対して用いられる表現です。
My scissors became dull so I bought a new pair.
私のハサミは切れ味が悪くなったので、新しいのを買った。
Luckily the toy knife was too dull to hurt anyone.
幸運にもそのおもちゃのナイフは切れ味が悪すぎて誰も傷つけなかった。
ぼんやりした、鈍い、どんよりした
モノの見え方や、聞こえ方、感情、天気、色なども言い表すこともできます。「ぼんやりした、くすんだ、鈍い、はっきり聞こえない」といった使い方です。
「dull pain」で鈍痛の意味になり、「dull color」だとくすんだような鈍い色を指します。
There was a dull thud outside the door.
ドアの外でドサッという鈍い音がした。
The sky was cloudy and dull.
空は曇っていてどんよりしていた。
He had a dull pain in his tooth.
彼は歯に鈍い痛み(鈍痛)があった。
I feel dull.
体がだるいです。
退屈な、ゆっくりの
退屈でゆっくりしている様子も表せます。だるい感じ、気怠い感じのイメージです。スラングというか、わりとそのままの意味です。
Business was dull because of the storm.
ビジネスは嵐のために活気づいていなかった。
The movie was so dull that I stopped watching it.
その映画はとても退屈だったので見るのをやめた。
頭の回転が遅い
知的でないことで「頭の回転が遅い、頭の鈍い」といった意味ですが、おそらく古臭い表現であまり現代では使われない感じです。
The child was rather dull, so the teacher had to explain things very slowly.
その子どもはかなり頭の回転が遅かった、だから先生はとてもゆっくり物事を説明しなければならなかった。
dullの語源について
dullはすでに1200年ぐらいには存在していた言葉でもともとは先に紹介した、現代ではあまり使われなくなった頭の回転が遅い、バカ、間抜けの「stupid」が最も古いそうです。
その過程でオランダ語やドイツ語の意味がまじり合って、色や切れ味、退屈といった意味に広がって使われるようになっています。
ネットでは「だるい」の語源が英語のdullからだという噂があるようですが、日本語にも気怠い(けだるい)など英語が入ってくる前から古くから使われている言葉もあるので偶然だと思います。
弱くする、和らげる(動詞)
動詞では「弱くする、和らげる、鈍くする」を意味します。活用は過去形・過去分詞ともにそのまま「dulled」です。
He drank some whisky to dull the pain.
彼は痛みを和らげるためにウィスキーを飲んだ。
He used very polite language to dull the impact of the bad news.
彼は悪いニュースの衝撃を和らげるためにとても丁寧な言葉を使った。