if単体では「もしも」の意味ですが、仮定法の話題に突入すると急に話がややこしくなります。
学校で「仮定法過去形」「仮定法過去完了」「直接法」などの用語を使ってifの使い方を説明されますが、この用語そのものがけっこう混乱させる原因ではないかと思います。
ネイティブはもちろん「Kateiho-Kako-Kanryo」とか教えてもらうわけではないので、別のやり方、考え方で習います。
結論としては日本式の「仮定法過去形」「仮定法過去完了」といった考え方を捨てて、英語ネイティブの覚え方をしたほうが、わかりやすいのではないかと思います。
そこでなるべく文法独特の専門用語を抜きにして、ネイティブ式の学び方と日本語での説明をミックスした考え方をまとめてみました。
この記事の目次!
ifは4段階のレベルにわかれるよ!
「もし~ならば〇〇だ」みたいな文章があった場合、それが程度の強さや可能性によって4段階に分類されます。
以下は同じ「もしも」の話でも、その実現の可能性や程度がぜんぜん違います。
「もし水が100度になれば沸騰する」
「もし雨が降らなければ花見に行く」
「もし深田恭子と結婚できれば幸せだ」
「もしクリントンが勝っていればアメリカは変わっていた」
話している側の気持ちも「可能性はゼロではないけど、ほぼ無理だ」とほぼ諦めているケースもあれば「条件さえ満たせば、普通にありえるよ」といったケースもあります。
これらを4つの段階にわけて、それぞれ書き方や表現を変えていきます。
レベル0(Zero Conditional)
このレベルのもしもは「常識・事実・当たり前」です。
If it rains, you get wet.
もし雨が降れば、あなたは濡れる。
If you heat ice, it melts.
もし氷を温めれば溶ける。
If you mix red and blue, you get purple.
赤と青を混ぜれば、紫になる。
科学的な事実や常識、当たり前のことに使われます。
if+現在形、後ろも現在形と、両方とも現在形が使われています。
レベル1(First Conditional)
レベル1のもしもは「条件・課題・挑戦」みたいな感じです。
ある条件を満たせば実現するだろうといった、十分に可能性があることです。
If you lower the price, I will buy it.
もし値段を下げてくれるなら、それを買うだろうね。
If Sally is late again, I will be mad.
もしサリーがまた遅れたら、ぼくは怒るだろうね。
場合によっては「警告」みたいな扱いになります。
If you don’t leave, I’ll call the police.
もしこの場所を離れないならば、警察を呼ぶぞ。
レベル0との表現の比較
レベル0で登場したものをレベル1でも表現可能です。
If it rains, you will get wet.
もし雨が降れば、あなたは濡れるだろう。
レベル0が当たり前、常識的な「事実」を語っているのに対して、レベル1はあなたは濡れてしまうよといった個人的な状況、条件やちょっとした警告に近くなっています。
if + 現在形と、後ろはwillを使った未来を表すので、ごく普通の表現になっています。深く考えずにifを使うとこんな感じになります。
レベル2(Second Conditional)
このレベルは「願望・夢・希望」のもしもです。不可能とはいわないけれど、かなり可能性としては低い感じのことを語っています。架空、仮想の話全般に使えます。
If I were a king, I would live in a castle.
もし私が王様ならば、お城に住むのに。
If I knew where she lived, I would go and see her.
もし彼女がどこに住んでいるか知っていたら、会いに行くのに。
ここではif + 過去形、後ろはwouldやcouldが入ります。
『一億人の英文法 ――すべての日本人に贈る「話すため」の英文法』の大西先生によると、英語で過去形を使うと「~だった(今は違う)」という意味が自然ににじみ出ます。この今・現在との距離感が重要だそうです。
She was my girl.
道で数年ぶりに出会った元カノを見たときなどに使えますが、この文章には裏の意味として「今はもう違うんだ」という絶望的な悲しい距離感があります。
この距離感がif + “過去形”や、would(willの過去形)やcould(canの過去形)を使うことで、現在とは少し距離がある「願望・夢」を表現しています。
レベル0,1との表現の比較
If it rained, you would get wet.
もし雨が降れば、あなたは濡れるだろうね…。
願望、夢の話なので、もし日照りが続き干ばつになった砂漠の民族などが、諦めぎみに言うにはありえる話です。
レベル3(Third Conditional)
最後のレベル3は「後悔・絶望」みたいな感じです。もう取り返しのつかない、どうあがいても実現が不可能になった場合の「もしも」です。
あるいはアニメ風の「別の世界線」と考えてもいいと思います。
If I had gone to university, I would have become a doctor.
もしも大学に行っていたら、医者になっていたのに…。
If I had worked harder I would have passed the exam.
もしも、もっと必死にやっていたら、試験に合格できたのに…。
If you hadn’t lied to me before, I would have believed you.
もしも、以前に私に嘘をつかなければ、あなたを信じたのに…。
これはもう取り返しのつかない状態を指しています。
形としてはif + 過去完了と、後ろはwould(could) + have + 過去分詞みたいな感じです。
この絶望的な取り返しのつかない距離感は単純な過去形では表現できない!もっと距離のある過去完了(had + 過去分詞)で表そう。
後ろもwouldだけは足りない!さらにhave + 過去分詞でいろいろ詰め込んで現在との距離を離そう、そしてこの絶望的な距離感を表そう、みたいな感じです。
レベル0,1,2との表現の比較
レベル0.1.2の文章も書くことは可能です。
If it had rained, you would have gotten wet.
もし雨が降っていたなら、あなたは濡れていたのに…。
文脈を作るならばSFやファンタジー世界で「100年に一度の雨に濡れた男だけが勇者になれる。しかし、神は我々を見放した。雨は降らなかったんじゃ…」「もし雨が降っていたなら、あなたは濡れていたのに…。」みたいな状況でしょうか。
もしくは単に「雨が降っていたらあなたは濡れていた。しかし、そうはならなかった」と単純な事実の描写に対しても使えます。
ドリフで考える:もしも威勢のいい銭湯があったら
最近の若い方は知らないかもしれませんが、その昔ドリフターズの有名なコントにサービス過剰な「もしも威勢のいい風呂屋(銭湯)があったら」がありました。
これはレベル2(Second Conditional)で「願望・夢」です。
このような風呂屋はあるわけない、可能性としては薄いです。
If there was a high-spirited public bathhouse.
もしも威勢のいい風呂屋があったら
上の翻訳になりますが動画を見たスティーブが、動画を描写するなら以下の形になると思うといっています。
If there was a hands-on public bathhouse.
もしも現場で一緒にやってくれる風呂屋があったら
日本語の文法用語との比較
この説明は海外のいくつかの文法サイトをベースに、カナダ人のスティーブの意見を交えて、日本語の文法書を読みながら自分なりにかみ砕いたものです。もうちょっとブラッシュアップできそうな感じがします。
ifを使えばすべて英語の「仮定法」かといえばそうではありません。
日常会話における以下のような話は確かに全部「仮定」の話です。
⓪「もし水が100度になれば沸騰する」
①「もし雨が降らなければ花見に行く」
②「もし深田恭子と結婚できれば幸せだ」
③「もしクリントンが勝っていればアメリカは変わっていた」
しかし英語の「仮定法」は現実には起こりそうにないことに対して使うので、ここでいうレベル2とレベル3のことです。
日本語の文法用語でいえば「仮定法」と呼ばれるのはレベル2が仮定法過去、レベル3は仮定法過去完了と呼ばれています。
レベル0と1は、実際に起こりうる可能性が高いので、ifを使っていても、これは直接法と呼ばれるものです。
wouldの使い方については以下の記事も参考にしてください。