have to(~しなければならない)は中学校で習う表現ですが、これが現在進行形になった「be having to」のような形でもまれに登場します。この場合は現在進行形が持つ「いま、この瞬間にしなければならない」という強調した感覚のある表現になります。ネイティブスピーカーにヒアリングをして使い方を例文にまとめてみました。
be having toの使い方
ニュースの中でhave to(~しなければならない)が現在進行形になっている、ちょっと珍しい形で登場しました。
まず言葉の感覚として「現在進行形(be + -ing)」は今この瞬間にまさに行っているという感覚があります。裏を返せば「時間が経過するとその動作をやめているかもしれない」という含みを感じさせます。
今この瞬間の動作である、継続性がない短期間の動作であることを意味するためにbe having toが使われることがあります。
例文で比較してみます。
If you have to stay up all night, you should drink coffee.
もし夜通し起きていないといけないなら、コーヒーを飲むべきだ。
上の例文は一般的な、受験生などに送るアドバイスです。明日以降も1年後も、いつの時代でもこのアドバイスは使えます。
If you’re having to stay up all night, you should drink coffee.
もし夜通し起きていないといけないなら、コーヒーを飲むべきだ。
上の例文は「まさにあなたが今日の夜に起きていないといけないならば」といった今の瞬間にフォーカスしたニュアンスです。
もう1つ例文をご紹介します。
If you’re ever wanting to go shopping, call me.
もし買い物に行きたいなら、電話して。
上の例文もeverは強調の意味で「買い物に今、まさに行きたいと思っているなら電話して」であって、明日でも明後日でもない今の話をしていることになります。
逆に考えると今の瞬間をフォーカスしていない文章で「be having to」を使うと変です。
You have to brush your teeth every day.
あなたは歯を磨かなければならない。
上の例文は普遍的なアドバイスであり一般的な表現です。
You are having to brush your teeth every day.
(この使い方は変です)
実際のニュースでのbe having to
実際のニュースではコロナによる物流の問題で、日本マクドナルドがフライドポテトの販売を制限しないといけない文脈で登場しました。
For the second time in as many months, McDonald’s Japan is having to ration french fries due to supply chain issues, offering only small size fries.
この2ヶ月で2度目となる、マクドナルドジャパンは、サプライチェーンの問題により、スモールサイズのフライドポテトを提供しながらも、フライドポテトに制限をかけなければいけない。
このニュースもまさに今にフォーカスしており、マクドナルドがポテトの制限を「be having to(~しなければならない)」のは、まさに今です。おそらく数ヶ月もたてば供給も安定して、やる必要がないことです。そこでbe having toを使って一過性であることを表現しています。
状態を表す言葉を進行形にしない
まず、大前提としてずっと続くような状態や構成を表す動詞は「ふつうは進行形にしない」みたいなルールがあります。
「resemble(似ている)」「differ(異なっている)」「be(~である)」のようなものを進行形にしないのは、時間が経過しても同じ状態が続くからです。
今日テイラー・スウィフトに似ている人は明日も似ているはずです。あなたの弟は明後日も1週間後もあなたの弟であるはずです。
これらのずっと続く状態を今この瞬間を表している(時間が経過するとそうでなくなるかもしれないという含みがある)現在進行形では表さない、という話です。
ほかにも心の動き、知覚である「like」「dislike」「love」あたりも、普通は進行形にしません。
しかし、これらの言葉でも一時的な状態を強調するならば「be having to」のように使うことができます。例外がいっぱいあります。
今の瞬間にフォーカスした現在進行形の使い方は、ちょうどマクドナルドのキャッチフレーズである「i’m lovin it」に見られます。以下の記事にもまとめてあるのであわせてご覧ください。