以下、未満、以上、超える(超過)などの英語表現をあらためて確認していきたいと思います。
考え方として「未満と以下」の差が重要になるケースと、さほど話として重視しないケースがあったりします。また英語表現としては正しくても、誤解や読み間違えやすいといった視点も必要になってきます。
例文の事例として「政府からの子育て支援金が子ども2人ではもらえない。子どもが3人いる家庭はもらえる」というケースを設定します。
これを英語を使って全パターンで表現することはもちろん可能です。
ポイントとしては文中に登場する数字が何人でそれを含むのかどうか? また、否定文なのか肯定文なのか? です。
以下
「以下」を表現するには次の表記が考えられます。
or less
and less
or under
and under
例文①
People with two children or less don’t get money from the government.
(2人以下の子どもの家庭は政府からのお金がもらえません)
以上
「以上」を表現するには次の表記が考えられます。
or over
or more
and over
and up
例文②
People with three children or more get money from the government.
(3人以上の子どもの家庭は政府からのお金がもらえます)
未満
未満もいくつかパターンが考えられます。
less than –
under –
例文③
People with less than three children don’t get money from the government.
(3人未満の子どもの家庭は政府からのお金がもらえません)
超える・超過
over –
more than –
例文④
People with over two children get money from the government.
(2人を超える子どもの家庭は政府からのお金がもらえます)
混乱をまねく文章
上の例文のケースでは③の「未満」と④の「超える・超過」のような書き方は普通はしないそうです。
というのも、論理的にはまったく間違いではありませんが、読む人にとって非常に勘違い、誤解しやすい文章になるからです。
③と④の文章をぱっと見たときに、やはり「three children」「two children」のような数字をともなった言葉が目に入ります。
日本語でも同じですが、「未満・超える」はこの表示されている数字を「含まない」ことになっています。
③と④のような英文は勘違いする人が大勢いてクレームにつながる可能性が高くなるため避けるようです。
それと比較すると①の否定文はまだましだという話です。ただわざわざ否定で表現する理由もありません。
このあたりは日本語と考え方が近く、普通の感覚があれば日本語でも「3人以上いればもらえます」と表記するのではないでしょうか。
18歳未満お断りは18歳はOK、タバコは二十歳からなので二十歳は吸えるのはご存知の通りですが、これぐらい決まったフォーマット、事実なら問題ないと思いますが個別の事象に言及するには少し気を使います。
論理的に間違ったことは書いていないので勘違いする、読み違えるほうが悪いとするならば、それは文章に対するスタンスの問題でしかないので、特に言うべきことはありません。
厳密さを求めない日本語訳
アルコールや喫煙の年齢制限を示す文章を日本語訳にする場合には「未満・以下」を正確に訳す必要がありますが、そうではない文章もあります。
例えば「昨日のパーティーには100人を超える人が参加した」と「昨日のパーティーには100人以上が参加した」と書いた場合、100人目を含むかどうかは大きな問題ではありません。
要するに「大勢の人が来ていた」「盛況なパーティーだった」ということを伝えたいだけです。
ニュース文でもありましたが『中国でのオンライン売上の40%を超える部分が偽物』と訳しましたが「売上の40%以上が」と訳しても、要するに「中国は偽物がわりと多い」という事実を伝えるのにさほど影響は与えません。
こういったケースの場合、以下・未満の違いを無視して翻訳しているケースがけっこうあります。
ただし技術系の翻訳や、学校の試験など、正確さを問われる文章の場合には慎重に訳してみてください。