影響を与える

「影響する」のeffect, affect, influence, impact, inspireの違い

日本語にするとどれも「影響を与える」となってしまい、どう使い分けて良いのか非常にわかりにくい単語です。

今回はネイティブスピーカーにヒアリングを行いながら、この5つの言葉の意味や使い方について確認してみました。この記事はカナダ人のスティーブと、イギリス人のダンに意見を聞きながら書きました。

明確に使い方が異なる単語もあれば、置き換え可能なケースもあります。作成してもらった例文を参考にしてください。全体的な印象としては「簡単にこれはこれと割り切れて、素直に理解できるようなものではなさそうだ…」という感じです。

influence(インフルエンス)

influenceは良いこと、悪いこと、どちらの影響に対しても使えます。以下は「影響を与えた」としかいっておらず、良い悪いまではよくわかりません。

He influenced me to become a doctor.
彼は私が医者になることに影響を与えてくれた。

Unemployment influenced his alcoholism.
失業が彼のアルコール依存に影響を与えた。

His advice influenced my decision.
彼のアドバイスが私の決定に影響を与えた。

influenceは普通は会った人、接触があった人に対して使います。

Michael Jordan influenced me to be a great basketball player.
マイケル・ジョーダンは私に偉大なバスケットプレイヤーになる影響を与えてくれた。

上の例文はもしマイケル・ジョーダンに会ったことがあり、直接の影響を受けたならば使うことが可能です。

しかし、テレビで見たといった場合には下のinspireを使ってください。

inspire(インスパイア)

インスパイアもカタカナで聞かれる言葉で辞書には「~を動機付ける、~に刺激を与える」といった訳も掲載があります。

inspireは基本的にポジティブなことに使われることが多いです。

He inspired me to become a doctor.
彼は私に医者になることの刺激を与えてくれた。

My wife inspired me to follow my dream of being a painter.
妻は私の画家になる夢を追いかけることに刺激を与えてくれた。

またinspireは直接会っていない相手・関係でも使うことができます。

Michael Jordan inspired me to be a great basketball player.
マイケル・ジョーダンは私に偉大なバスケットプレイヤーになる刺激を与えてくれた。

inspireとinfluenceは置き換え可能なケースもあります。

My coach influenced me to become a great basketball player.
My coach inspired me to become a great basketball player.
私のコーチは私に偉大なバスケットプレイヤーになる刺激を与えてくれた。

コーチとは実際に会うような面識があるのが普通なので、その場合はinfluenceでも可能です。

impact(インパクト)

インパクトもカタカナになっている言葉ですが意味は「~に影響を与える」です。

一般的にimpactは「イベント・物事・現象」が「物事、人・メディア」などに与える影響に使うので、人・人間が主語になることがほとんどありません。

Meeting Michael Jordan impacted me greatly.
マイケル・ジョーダンに会ったことは私に大きく影響を与えた。

上の例文のように「マイケル・ジョーダンが」ではなく、「マイケル・ジョーダンに会ったことが」と人ではなく主語を出来事にして使います。

The earthquake impacted many people.
その地震は多くの人に影響を与えた。

この言葉は少し漠然としており「影響を与えた」としか言っていません。

先に紹介した「inspire」「influence」は影響を与えて〇〇になったといった文脈が生まれますが、impactの場合は「影響を与えた」で文章が終わります。

上の例文のように「影響を与えた」とはいっていますが、その結果としてどうなった、何かになるための影響だった、といった形が続かないことが多いです。

Michael Jordan impacted me to be a great basketball player.
(このような書き方をしない)

「make a impact」の形でも同じ意味を表現することができます。

Meeting Michael Jordan made a big impact on me.

The earthquake made an impact on many people.

また名詞で「衝突、衝撃」などの意味で、物理的なものとしても使うことができます。

The impact of the car crash killed him.
車の衝突の衝撃が彼を殺した(車の衝突で亡くなった)

affect(アフェクト)

affectも動詞で「~に影響を与える、~に作用する」となります。上にあげた言葉では「impact」が使い方としては近いです。

このaffectもimpactと同様に「マイケル・ジョーダンが」「彼が」といった人間を直接は主語に置きません。イベント、出来事などが主語になります。

Meeting Michael Jordan affected me greatly.
マイケル・ジョーダンに会ったことは私に大きく影響を与えた。

The earthquake affected many people.
その地震は多くの人に影響を与えた。

「impact」と同様に単に「影響を与える」といった意味で、その結果どうなったや、何のために影響を与えたといった文脈が続きません。

Michael Jordan affected me to be a great basketball player.
(このような書き方をしない)

また同じ意味を作るには「have an effect」でも可能です。

Meeting Michael Jordan had a big effect on me.

The earthquake had an effect on many people.

effectとaffectの違い

基本的にはeffectは名詞で「影響、結果、効果」などの意味で使われます。

辞書には動詞での掲載がありますが、この動詞でeffectを使うことがほとんどありません。

「effect change = create change(変化を生み出す)」のような動詞としての使い方が見られないわけではありません。

しかし、確認してみると言い回しとして大げさで、政治家などのスピーチなどに登場する華やかな言い方であって、普通の人は使わないだろうという見解でした。

We must effect change by improving education.
教育の改革によって変化を生み出さなければいけない。

上のような言い回しは確かに存在していますが、あまり使わないので、使用にはご注意ください。

置き換え可能かどうか?

上に紹介した動詞のaffect, influence, impact, inspireの違いについてはご説明した通りですが、置き換え可能なケースもあります。effectは名詞なので除外しています。

以下は「月は地球の潮の満ち引きに影響を与える」といった意味ですが最後の「inspire」以外は同じ意味です。

The Moon affects the Earth by changing the tides.

The Moon impacts the Earth by changing the tides.

The Moon influences the Earth by changing the tides.

× The Moon inspires the Earth by changing the tides.

下のマイケル・ジョーダンの例文で言えば、上の2つはOKです。下の2つは文脈ができて「どうなった、何のための影響」などを書かないのはすでにご説明した通りです。

また「人・人間」を直接の主語に置かない点でも不自然な例文になっています。

Michael Jordan inspired me to be a great basketball player.

Michael Jordan influenced me to be a great basketball player.

× Michael Jordan impacted me to be a great basketball player.

× Michael Jordan affected me to be a great basketball player.

受動態で使った場合の意味の比較

すべては文脈、コンテクスト次第になってしまいますが、シンプルな例文をネイティブスピーカーが見た場合に意味が通るか、不自然な文章か、意味がよくわからないかをダンとスティーブに判定してもらいました。

本が影響を受ける

The comic book was inspired by Japan.
The comic book was influenced by Japan.

× The comic book was impacted by Japan.
× The comic book was affected by Japan.

affectを使った場合でも「コミックの”ストーリーに”影響を与えた」のように書くと、より意味がはっきりしますが上のように「コミックが」と本そのものを指すと、意味がよくわからなくなります。

またこの場合の「Japan(日本)」は限りなく人間に近い扱いです。これが「日本で起こった地震が」や「広島に落ちた原爆が」といったより具体的な事件・イベントならばまた話が変わります。

人が影響を受ける

He was inspired by Michael Jackson.
He was influenced by Michael Jackson.

× He was impacted by Michael Jackson.
× He was affected by Michael Jackson.

これも同じようなことがいえますがimpactやaffectは「マイケル・ジャクソンの音楽が」「マイケル・ジャクソンのファッションが」と「私のファッション・ダンスに対して」のように書くと意味がまだわかります。

しかし、上の例文のように「人・人間」を直接おいてしまうと意味がわからない感じになってしまいます。

地球が月の影響を受ける

The Earth was influenced by the Moon.
The Earth was affected by the Moon.

The Earth was impacted by the Moon.
(実際にぶつかった、衝突したの意味ならばOK)

× The Earth was inspired by the Moon.

この場合にはimpactは実際に衝突したことを意味するならば正しい文章です。

複合形容詞として使う場合

「日本に影響された本」などを表す場合に「Japan-inspired(日本に影響を受けた)」を使うケースもありますが、これも置き換えに制限があります。

Japan-inspired comic book

Japan-influenced comic book

上のように「日本に影響を受けたコミックブック、日本に触発されたコミックブック」などの表現は可能です。

× Japan-impacted comic book

× Japan-affected comic book

しかし、このような表現ができません。本そのものは単なる物体であって、本が影響を感じとっているわけではありません。その場合にはimpactedやaffectedが使えません。

これが「コミックのストーリー」のように本、物体そのものでない場合は意味が成立します。

「影響を受ける」ものが「物体としての本」か「本の中身である物語」なのかで意味合いが変わっており、当然使える表現も異なります。

このあたりの区別は感覚的にわかるようなわからないような日本人には区別するのが非常に難しいですね。

人が影響を受けるのであるなら、以下のような表現は可能です。

earthquake-impacted people
地震に影響を受けた人々

earthquake-affected people
地震に影響を受けた人々

writer-strike-affected comic book
作家のストライキの影響を受けた本

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