たこやき

たこ焼きを「オクトパス・ボール」と訳す料理翻訳の難しさ

トロント出身、大阪在住のスティーブは過去に何度も「たこやき」を「Octopus ball」と説明された経験があるそうです。

特に英語に不慣れな人が親切心で直訳してくれているのだと思いますが、あまり描写としては好ましくないように思うといっていました。

彼は基本的には現地の有名な料理、例えば「トムヤンクン」などはもう「トムヤンクン」でしかないのだから、たこ焼きも「Takoyaki」でいいのではないかと指摘しています。

このあたりの料理翻訳の難しさを取り上げてみます。

たこやき=Octopus ballの難しさ

たこやきを「Octopus ball」と言ってしまう問題点はいくつかあげることができます。

まず調理工程などを飛ばした直訳の単語を並べてみても、ネイティブスピーカーには意味がまったく通じない点があります。

例えばアプリでも明治の「きのこの山」を何度か取り上げています。これも記事にする時に「マウンテン・オブ・マッシュルーム」と書いたらダメなのか?と質問したことがあります。

書いたとしても、そこからあの形状のお菓子を連想することはほぼ不可能で、意味が伝わらないし混乱すると説明されました。

アプリ内の英文ニュースは第1にネイティブスピーカーが読んだ時の自然さ、第2に日本人の英語学習者に有益なものを優先順位にしているので、彼の見解を優先しました。

美味しくなさそう…

またOctopus ballと書くと、物体の説明としてはかろうじて通るとしても、料理としてまったく美味しくなさそうで、非常にグロテクスなものを連想させてしまう点があります。

これは日本語でもそうですが、馬肉と書くと少しグロテクスな感じもするので、鮮やかなピンク色から「桜肉」と呼び替えられることがあります。

飲食店のメニュー翻訳にもいえることですが、内容的な描写はあっているけれど、料理の名前や説明としては、伝えるべき英語圏の相手がまったく食べる気も起こらない表記になっていることはよくあります。

そのうえで、内容を伝えてみたいとなると、やはり少なからず英語力が必要となります。

Takoyaki is a small piece of octopus fried inside a ball of batter and covered with sauce.
(たこ焼きは小さく切られたタコを入れて焼いた、小麦と水で作った球状のもので、ソースがかかっている)

batter(小麦と水の衣)やbutter(トーストに塗るやつ)など語彙力が必要になり、このあたり料理翻訳の独特の難しさがあります。

餅は「Rice Cake」なのか?

英語で餅をなんとかいうのか? をテーマにしたGoogleの音声機能(iOSのSiri)のCMが少し前にYoutubeやテレビで流れていました。

グーグルは「rice cake」と返事をしています。

スティーブは「餅」を「Rice Cake」と呼ぶのは好きじゃないといっていました。

理由はまず一般的にイメージする「ケーキ」とはかけ離れている点があります。そもそも日本独特の食べ物などを無理に英語に置き換えるのは、あまり彼は賛成していません。

刺し身や寿司がそうであるように、餅は日本特有のモチだからです。

また英語圏でRice Cakeといえば、まったく別のイメージの食べ物が存在しています。

ライスケーキ

rice cakeでのイメージ検索結果

お米から作られたビスケット、クッキー風のお菓子です。私も食べたことはありませんが「餅」とは似てません。成分として米からできているという共通点ぐらいでしょうか。

当然ですが「mochi」といっても知らない人には伝わらないので、描写する必要はあります。

そういったことを総合的に考えると餅の英語を「Rice Cake」とするのをよしとしない英語ネイティブ、特に日本にいて物体を知る人ほど多いような気がします。

関連して餅を「日本人のソウルフード」、たこやきを大阪人の「ソウルフード」と説明する問題点は以下の記事を参考にしてください。

アンパンマンをどう伝えるか?

先日、知人の英会話初心者がスティーブに「アンパンマン」の説明をしようとした時に「beans(豆)」と連呼していて、ちょっと面白かったんですよね。

おそらく小豆(あずき)から説明しようとしていて「そこから始めるの?」とちょっとびっくりしました。

こういった時に「食べ物をモチーフにした子供向けのヒーローだよ」で済ますこともできます。

アンパンマンの中身が小豆にもとづいていること、それをアンクル・ジャムが作っていること、お手伝いさんはミス・バターであることを説明する必要が本当にあるのか? 判断がわかれるところです。

これらは英語の問題でもあり、より適切な説明を適切なタイミングで伝える判断力みたいな部分で英会話力につながる深い問題ですね。

どこまでなにを伝える必要があるのか? 詳細を伝える必要があるのか? など考えさせられる問題です。

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