カタカナ

カタカナビジネス用語は英語として本当に使えるのか?

最近に始まったことではありませんが、聞き慣れないカタカナ語がビジネスシーンで使われています。

リクルートが運営していたR25に『言いたいだけ? 意味をよく知らないカタカナ語TOP10魚拓記事)』という興味深い記事が出ていました。

今回は該当の記事で発表されているランキングトップ10を英語に戻して本当に英語としては成立しているのか? 個々の単語をネイティブはどう感じているのかを検証してみます。

多くの人が指摘するように日本語で言ったほうがわかりやすいケースも多いし、なぜ使うのかよくわからないパターンもあります。

登場するすべての英語のリストは以下の通りです。

1位:サステナビリティ
2位:オーソライズ
3位:フィジビリティ
4位:アセット
4位:オルタナティブ
6位:ハレーション
7位:バジェット
8位:アライアンス
9位:ダイバーシティ
10位:スキーム

みなさんいくつわかりましたでしょうか?

sustainability(サステナビリティ)

1位になったのは名詞で「持ちこたえる力、持続可能性」を意味する言葉で、5人に1人がわかっていなかったそうです。むしろ4人がわかっていたのかと驚きます。

英語としては以下のように使いますが、あまりこの名詞の形では用いられないそうです。

Sustainability is difficult to achieve when producing electricity for a nation.
電力を国家にもたらす時に持続可能性を達成するのは困難だ。

どちらかといえば形容詞のsustainable(維持できる、継続維持できる、地球にやさしい)のほうが使いやすい言葉になります。

Oil is not a sustainable source of energy.
石油は持続可能なエネルギー資源ではない。

Weblioの学習レベルでは「英検1級以上の単語」に分類されるので、普通の日本人は知らなくて当然の部類だとは思います。

authorize(オーソライズ)

2位のオーソライズは「公認」と解説に書かれていますが、正確には動詞なので「~を認可・許可する、権限を与える、公認する」になります。

I need my boss to authorize my request for money.
お金のために、上司に私の要求を承認(許可)してもらう必要がある。

ニュースではよく「authorities」として、政府などの「当局」として訳せる機関・団体を指す言葉として頻繁に見かけます。警察だったり、政府だったり、政府関係の部署だったり、漠然とした機関名に用いられます。

このカタカナビジネス用語の「オーソライズ」が何を意味するのかははっきりしませんが、承認・同意という意味の名詞ではTOEICなどにも頻出の「approval」があります。

feasibility(フィジビリティ)

R25のサイトでは「実行可能性調査」と書いていますが、辞書には名詞で「実現可能性、実行可能性」と出ています。

これも以下のように文章を作ることができます。

I don’t know about the feasibility of your plan.
あなたの計画の実現可能性についてはわからない。

1位のサステナビリティにも言えることですが名詞の形よりも、形容詞の「feasible(実現可能な)」のほうが使いやすく、頻度が少し高くなるみたいですね。

I don’t know if your plan is feasible.
あなたの計画が実現可能かどうかはわからない。

日本語から英語に翻訳したときにも見られる傾向かもしれませんが、日本は名詞主体になっている感じもしますね。

この単語も学習レベルとしては「英検1級以上」と難易度が高めです。

asset(アセット)

名詞で「資産、資源、価値のあるもの」などで、ビジネスシーンでは「資産」の意味で使われています。他の言葉にもいえますが、特にこれなどカタカナにする理由があまりない感じがします。

Our company has many assets overseas.
私達の会社は多くの海外資産を持っている。

alternative(オルタナティブ)

4位のオルタナティブは「代替案」としてビジネスシーンで使われているそうです。

There are many alternatives if the client refuses our offer.
もしクライアントが私達のオファーを拒否したら、多くの代替案がある。

オルタナティブについては以前に詳しくまとめた記事があります。代替案でもいいのですが根本的な意味は「主流ではないもの」です。

オルタナティブロックやパソコンのaltキーなどにもいえますが、通常のものとは違う主流でないものとして扱われます。

halation(ハレーション)

このランキングの中で唯一、ネイティブスピーカーが英語として考えた場合の意味がよくわからないとなったのが、このハレーションです。

カタカナ英語としての意味は「他に影響を及ぼすこと」です。副作用と考えても近いかもしれません。元々はカメラ用語らしく辞書に以下の掲載があります。

写真乾板やフィルムに非常に強い光が当るとき,感光層を通り抜けた光がフィルムベースの裏側で反射されて戻ることによって起るかぶりをいう。強い逆光線や明るい光源に向けて写真を撮るときによく起る。これを防ぐために,フィルムベースに染料を塗布したり (ハレーション防止層) ,フィルムベース自体を薄く着色させて (グレーベース) 反射光を弱くしたりする方法が採用されている。
出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

ウインドウズの校正機能でも赤線が引かれて「間違いでは?」と指摘してくるのであまり一般的な言葉ではないと思います。

英語にした場合の「影響」という意味では普通に「influence」が使えます。

That new employee is a bad influence on the other workers.
あの新しい従業員は他の労働者に悪い影響を与えている。

budget(バジェット)

これはそのまま「予算」の意味で、ニュースでもたびたび登場します。このあたりになるとわざわざ英語・カタカナで言う意味が本当によくわからないです。

There is no budget for new office furniture.
新しいオフィス家具の予算はない。

追加・補正予算は「supplementary budget」と表現します。

alliance(アライアンス)

英語では「同盟、提携、連合」などを意味する言葉で、ビジネス用語では「提携・業務提携」として使われているケースが多いです。

We formed an alliance with a leading research group.
我々は有数の研究グループと提携をした。

資本的な統合も含めたM&A、企業買収とは違って、もうちょっとゆるい感じで「一緒に協力してやっていこう」といった感じの提携です。もちろん契約書ぐらいはあると思います。

少し前にKDDIグループが「Syn.アライアンス」を組んでいましたが、うまくいったのか知りたいです。

diversity(ダイバーシティ)

名詞のdiversity(多様性、さまざまな種類)も最近はカタカナでも聞かれるようになりました。

The diversity of food in major cities is large.
主要都市での食べ物の多様性は大きい。

It is important to have diversity in the workplace.
職場で多様性を持つことは重要だ。

There is a lot of diversity in Japanese baseball.
日本のプロ野球は多くの多様性がある。

人種に限った話ではないのですがプロ野球の例文の意味は、普通はアメリカ人、キューバ人、韓国人、台湾人のようにさまざまな人種がいると読まれる可能性が高いそうです。

もともと人種などの多様性に使われることが多いですが、別に人種だけに限ったものではありません。

また多様性のあるなしはhigh/lowやlarge/smallやa lot ofのような形で表現され、わりとなんでもいけるみたいです。

発音はアメリカ英語ではdɪvˈɚːsəṭi(ディバーシティ)のようになりますが、イギリス英語ではdaɪ.vɜː(ɹ)s.ɪ.ti(ダイバーシティ)とカタカナに近くなります。

diverse(形容詞)

形容詞のdiverse(多様な、それぞれ異なる)もよく登場します。

America is diverse.
アメリカは多様だ。

My family has diverse hobbies.
私の家族は多様な趣味を持っている。

例えば「31のアイスクリームの味は多様性がある」の表現を考えてみます。

①Baskin Robbins has various flavors of ice cream.

②Baskin Robbins has diverse flavors of ice cream.

日本では31(サーティーワン)として知られるアイスクリームショップは正式には「バスキンロビンス」です。

普通は①のような表現です。②はちょっと変で、表現として大袈裟すぎる感じがするそうです。

31のアイスクリームは選択が豊富という感じで、種類が多いといったレベルの多様さです。②は例えばバニラ味から岩の味など、本当に極端な幅広さを持っていたら、ありうる表現にはなるそうです。

scheme(スキーム)

ビジネス用語としてはけっこう使われますが英語では名詞で特に「悪い計画、悪巧み、陰謀」として使われます。

動詞では「(陰謀などを)企てる、たくらむ」です。

The group schemed a way to cheat on their taxes.
グループは税金をごまかす方法をたくらんだ。

He came up with a scheme to frame his boss for embezzlement.
彼はボスの使い込みをでっちあげるスキームを思いついた。

Team Rocket always has schemes to steal pokemon.
ロケット団はいつもポケモンを盗む悪だくみをしている。

普通のplan(計画)として使っても間違いではないそうですがあまり使わないそうです。

△ We need a scheme for distributing our product more quickly.
〇 We need a plan for distributing our product more quickly.

関連用語として「color scheme(カラースキーム)」といった言葉もあり、色彩設計、複数の色を考えて組み合わせることです。こちらは悪い意味はありません。

I love the color scheme of this room.
私はこの部屋の色彩設計が好きだ。

Some websites like simple color schemes to appear more inviting to users.
いくつかのサイトはユーザーにより魅力的に訴えかけるのためにシンプルな色の設計を好む。

全体的な感想としては6位:ハレーション以外は、程度の差はありますが英語としてそのまま使うことができそうです。

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