ハーフ

外国人のhalf(ハーフ)について

記事の編集中に話題になったのは、最近テレビでもよく見かける芸能人などのハーフタレントの「ハーフ」です。カナダ人のスティーブ、オーストラリア人のクリスにヒアリングを行いながらまとめてみました。

話をしていて思うのは、日本人が考えるハーフと捉え方が違うように感じました。

日本語では「彼はハーフだ」という言い回しになりますが、そのまま英語で”He is half.”とだけ言ってしまうと「彼は半分だけ」と意味が成立していません。

単純に英語表現の問題ではなく、混血などの意味も含み人種差別などにもつながる話題なので慎重に書きます。

英単語のhalf(ハーフ)について

カタカナでも定着している半分を意味する「half(ハーフ)」が記事作成中に話題にあがりました。

複数形”halves”で使用されることもあり、発音はハルブスではなく「ハヴズ、ハーヴズ」となります。

half – halves

半分という数は、それそのものはひとつでは?と感じるかもしれませんが、「二つに分かれたものたち」をさすため、複数形にもなりえます。

Cut the cake into two halves.
(ケーキを半分に切る)

The first(second) of two halves of play.
(試合の前半(後半))

国籍などのハーフ

「あなたはハーフなの?」といった感じ日本人は気軽に質問しますが、けっこうsensitive(繊細な、微妙な)な問題にもなりえて、あまりこういう直接の質問はしないそうです。

もちろん人間関係や状況にもよるとは思います。

その人がハーフであるかを表現するには以下のような英語になります。

①He is Taiwanese-Japanese.
②He is mixed race.
③He is half-Taiwanese, half-Japanese.
④He is part-Taiwanese, part-Japanese.

彼は「台湾人と日本人のハーフだ、台湾系の日本人だ」といった意味になります。

ここで「race(人種・血統・民族)」などを意味する言葉が登場しますが、このraceとnationality(国籍)はまったく別の問題、概念です。

国籍はパスポートを見ればわかりますが、raceは目に見えない概念で意識することも少ないので日本人には馴染みがないものかもしれません。

アメリカは「race」にはならない

基本的にはアメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージランドのような国は「nationality(国籍)」にはなりますが「race(人種)」にはなりえないという話になりました。

元をたどればヨーロッパから移住した人々によって作られた国であってDNAなどのレベルでは同じ人々になります(先住民の話は横に置いておきます)

結局のところ、ハーフという概念はraceの話であって、国籍の話ではないという考えになります。

二重国籍はありえますが、それは2つ持っているだけで、国籍としての「ハーフ」はそもそも考え方として変です。

例えばの話

以下のようなケースをどう考えるのか? という話題になりました。

①He is Thai-Japanese.

①の表現を見た場合は、英語のネイティブは以下のように感じるそうです。

=He is a Thai person and citizen of Japan.
(彼はタイの人で、日本の市民権/国籍を持っている)

= His mother is Thai and his father is Japanese.
(彼の母親はタイ人で、父親は日本人だ)

①の人は国籍はおそらく日本人で、人種という観点から見てもタイと日本の「ハーフ」だと考えられます。

②He is a Japanese-born Thai person.
(彼は日本生まれのタイ人だ)

= Both parents are Thai. Born and raised in Japan.
(両親はタイ人だけど、日本で生まれ育った人)

②の場合は日本国籍を取得している可能性はあります。日本語ペラペラで、ひょっとしたらタイ語のほうが苦手かもしれません。

ただrace(人種)の観点ではタイ人です。日本国籍を取得しても、していなくても変化はしません。

日本人の感覚との差

日常会話で「ハーフ」という言葉がでると「両親のどちらかが外国人」といったぐらいの感覚で話しています。

それでもraceの観点から質問すると、とても日常会話で初対面の人にする話題ではないのは感覚的にわかります。

多民族国家のアメリカの社会問題を見ると、彼らは「アメリカ人」という国籍を同様に持っていたとしても、それを越える部分での「race」の部分に大きな比重があるのがわかります。

そこに「宗教」という概念が加わることで、より問題が複雑化されているようにも思えます。

私の住む大阪は在日韓国人・朝鮮人の人々が多く、小学校のクラスの半分ぐらいは、両親のどちらか、あるいは両方が韓国人だったり、国籍が韓国だったりしました。

東京からの転校生だった私は、子ども心にカルチャーショックを受けた記憶があります。もともと日本で育っている在日三世ぐらいの世代になると韓国語を話す人のほうが珍しいです。

歳をとるとそういった友達・知人が結婚、就職でトラブルがあった話は嫌というほど聞いたし、不都合を避けるように帰化する選択をとった人もいます。

体験的なものになりますが、日本ではraceよりも「国籍」の比重が高いように感じます。身の回りで見聞きした体験などは「帰化」することで解決されていたようにも思うからです。

しかし、2014年にノーベル物理学賞を受賞した中村修二さん(アメリカ国籍)に関連する報道を振り返ると「日本人が受賞しました」とメディアが「race」で日本人をとらえている様子も感じとれます。

すでにアメリカ国籍を取得しアメリカ人である中村さんの功績を「日本系」やそのまま「日本人」といった扱いで、今回はノーベル賞は日本人が受賞した日本の功績のように報道されていました。

また相撲などでも見られますが「日本人力士」と「日本出身力士」みたいな微妙な表現の差です。

モンゴル出身の力士で日本人に帰化した人は「日本人力士」ではあるけど「日本出身力士」のカテゴリに入らないという話で、これも永遠に変わることのない「race」の視点です。

そういった意味で日本社会は変更できる国籍の視点と、変更できないraceの視点が混在しているようにも思います。これらはスポーツの帰化選手を報じるときにも微妙な言い回しになります。

普段の生活ではなかなか意識することのないrace(人種)の考え方ですが、これから英語を勉強されてさまざまな国の人に出会うことを思うと、頭の片隅に置いておいても良さそうな概念かもしれません。

以下のアイデンティティ・クライシスの項目は書き手がかわり、アメリカ在住のライター、kumiさんによるものです。

Identity crisis(アイデンティティ・クライシス)

子供を産んでから「海外で育つ子はよくアイデンティティ・ロスに陥る」という言葉をよく耳にしてきました。

アイデンティティ・クライシスともいわれ国籍だけの問題ではありませんが、自分の存在意義やどこの国に所属し何をなせるのかといった事柄に不安を感じることです。

一言で海外で育つ子供といっても非常に様々なパターンがあり、両親が異なる国の出身のハーフであったり、日本人同士の間に生まれ日本国籍を自動取得する一方で生まれた国の国籍も取るケース、さらに両親が日本人同士でも片親が(例えばアメリカに)帰化している為、見た目は純日本人でも国籍上は”アメリカ人”と日本人のハーフ扱いだったり、組み合わせは無限にあります。

このような多種多様な国際結婚が珍しくない今日、アメリカ、カナダ、中国、マレーシアなどの多民族国家で育っているそのような境遇の子供が、誰かに「何人?」と聞かれて一瞬返答に戸惑うことがあっても不思議ではありません。

私の子供はまだ5歳と1歳半ですので、このポイントを通過するのはまだまだ先の事ですが、それでも既に上の子には「あなたはアメリカ人で、日本人」という風に話し、二ヶ国語を話す理由がそこにある、という点からまず教えています。

将来多かれ少なかれロス状態になることがあるとしても「グローバルシチズン」という良い意味で開き直った考え方で自分をしっかり持ってくれればと思います。

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