「命令する」のcommand / order / demand / directの違い

指示・命令
 

公開日: 最終更新日:2019.01.14

「命令、指令、指示」を表す英語はcommand / order / demand / directなどが代表的です。

これらはネイティブスピーカーにとっては日常会話で使う分にはそこまで大きな差を感じないそうですが、それでも細かな差はあります。

この中ではdemandは強く要求することでもあるので、命令や指示とは少し性質が異なってきますが結果としては似たような意味になります。

これらの違いを順番に整理しながら見ていきます。

日常会話では大きな違いはありませんが各国の法律などで法律用語としては厳密に区別されている可能性はありますがここでは除外します。

demand / order / command / directの違い

似たような「指示する、命令する」の意味ですべて以下の形をとります。

[demand / order / command / direct] [人] to [動詞]

[demand / order / command / direct] + [名詞]

動詞の後ろに人を置くか、直接、何かの名詞を置くことも可能です。その場合、また意味が違ってくることがあるので順番にご紹介します。

要求している、求めている点では同じですが使う人の地位などによって異なります。順番にそれぞれの特徴や例文などをご紹介します。

order

orderは「命令する」の意味以外にも、「注文する」の意味があります。

飲食店などの「オーダー」と同じで何かを買うことや、正式に何かをリクエストすることを意味します。

She ordered a coffee from the waiter.
彼女はウエイターにコーヒーを注文した。

He ordered some new office furniture.
彼は新しいオフイス家具を注文した。

以下の文章などは商品などの注文ではなく、命令・指示をしていることになります。

The boss ordered everyone to go home.
ボスは全員に対して帰宅するように求めた(命令した)

The president ordered the police to stop carrying guns.
大統領は警察に対して銃の携帯をやめるように求めた(命令した)

orderと次に紹介するcommandは「命令」と思っても間違いではなく、権力のある地位の人が使います。

command

コマンドも同様に地位のある人からの命令になります。

The boss commanded everyone to go home.
ボスは全員に対して帰宅するように求めた(命令した)

The president commanded the police to stop carrying guns.
大統領は警察に対して銃の携帯をやめるように求めた(命令した)

command + 名詞

名詞(目的語)を置いた場合のcommandの訳が難しく辞書では「(尊敬・関心・信頼・同情・高評価などを)当然のこととして受ける・集める」という、まったく違う意味になります。

何も言わなくても自然と集まってくること、勝ち得ることを意味します。

She commanded the respect of her workers.
彼女は部下からの尊敬を(特に何もしなくても自然と)集めた。

The artist commanded silence from the audience.
アーティストは観衆の静かさを集めた。

下の文章など日本語にしにくいですが意味としては、観客はアーティストに注目して自然と静かになった、という意味です。

direct

「(人)に~するよう指示する」のように使われます。

基本的なイメージでは他のorderやcommandほど強くはないので「命令」とはいいませんが、「指示」の日本語と同様にある程度はその方向に向かうように強制している感じが出ます。

たとえば「スピルバーグ監督は俳優たちにうまく指示する」を考えてみます。

Stephen Spielberg directs his actors well.

Stephen Spielberg orders his actors well.
Stephen Spielberg commands his actors well.

おそらくこの状況の場合は「direct」がベストです。監督が「命令」するのは少し表現として強すぎる感じがあります。

また「(人)に~への道を教える」といった意味もあるので、この境界線が難しいところです。

He directed me to the washroom.
彼は私にトイレへの道を教えた。

上の表現の場合、やや解釈の幅があるものの「トイレまでの道を教えた」と解釈されると思います。

He directed me to go to the washroom.
彼は私にトイレに行くように指示した。

おそらく上の文章ならば「トイレに行け」と指示したといえます。これを日本語の命令ととるのかは判断がわかれます。

多少なりとも強制する感じ、その方に行けといっている感じがあり、道案内の看板などもそうです。

以下は実際のニュースで富士山の登山道に間違った矢印のサインがいたずらで書かれていたニュースからです。

The signs directed climbers toward a more dangerous and rocky path.
その看板は登山者をより危険な岩石の多い小道へ向かわせていた。

案内板などが道を指し示すのは、暗にその方向に行けといった感じで強い命令ではないものの、やや強制している感じが出ます。

demand

demandについては別の記事でもまとめていますが、いちおうご紹介します。

個人的、非公式に何かを強く求めることで言い換えると「strongly request informally」が近いです。

demandは「要求する」であり、どの地位の人であっても使うことが可能です。

She demanded a better seat in the restaurant.
彼女はレストランでもっと良い席を要求した。

He demanded more money from his boss.
彼はボスにさらにお金を要求した。

また公式な感じが薄まり個人の要求で、かつ強い要望を意味します。結果としては、似たような意味で使うこともできます。

The boss demanded everyone to go home.
The president demanded the police to stop carrying guns.
(上の例文とほぼおなじ感じです)

他にも「需要」などの意味もあるため、独立した記事でまとめたものがあります。詳しく知りたい方はどうぞ。

issueをともなう形

issueを伴って「issue a command/issue an order/issue a directive」などの形がとられることがあります。

directiveは指示・命令を意味する名詞なので、似たような意味のことです。

しかしissueは公的な機関などが「公表する、発布する、発令する」の意味を持つので、例えばイヌへの指示や個人的なことには使いません。

①Obama issued a command to his dog to sit down.
(オバマはイヌにお座りするように命令を発した。)

①の言い方などは、少し変だという話です。大きな差はないものの、突き詰めると少し言葉が持つニュアンスの差があります。

ニュアンスの違い

そのまま動詞で使うことができます。「オバマはイヌに座るように命令した」です。

②Obama commanded his dog to sit down.

③Obama ordered his dog to sit down.

④Obama directed his dog to sit down.

④だけが少し変で、理由はイヌなどの動物には普通は「command」や「order」を使うのが一般的だからです。

もう1つ例文を出します。以下の例文の訳は「オバマは学校に対してトランスジェンダーのトイレを設置するように指示した」です。

⑤Obama commanded schools to have transgender bathrooms.

⑥Obama ordered schools to have transgender bathrooms.

⑦Obama directed schools to have transgender bathrooms.

この場合は状況から考えると⑤と⑥は少し不適切で、明らかに「命令」であり表現として強すぎる、上からすぎるそうです。

オバマ大統領は選挙によって選ばれた代表だから表現があわないのであって、もっと独裁者色の強い金正恩ならば⑤や⑥はOKではないかという意見です。

選挙で選ばれたアメリカ代表なのであって、場合によっては「命令」など強すぎる表現がそぐわないケースもあります。

しかしアメリカ大統領はアメリカ軍の最高司令官としての側面もあり、軍隊に何かを伝える場合は「命令・command」であっても問題ないケースがあり、このあたりは文脈によります。



  • このエントリーをはてなブックマークに追加

私たちのアプリもよろしくお願いします。

新作アプリをリリースしました!

YouTubeのチャンネルはじめました!

リスニングと英語教材のペラペ

記事カテゴリー

おすすめ記事

  1. yera-old
  2. ファックについて
  3. 英語での「髭(ひげ)」の種類と言い方
  4. Japanese
  5. sit inとsit onの違い、椅子に座るはどちらか?

最近の記事

  1. ruins(廃虚、遺跡) / ruin(崩壊) の意味と使い方
  2. Mon / Mama / Mother「母親」を表す言葉の違い
  3. slip offとslip onの意味と使い方
  4. reticulated / reticulateの意味と使い方
  5. burn upの意味と使い方
  6. extremist / militant / terroristの意味の違い
  7. extreme(エクストリーム)の意味と使い方
  8. restraint(自制、慎み)とrestrain(拘束する、抑える)の意味と使い方
PAGE TOP