アピール

日本人が使うappeal(アピール)の意味が違う

カナダ人のスティーブと「appeal」について話していましたが、彼は日本人の使うカタカナの「アピール」が少し英語とは違っていると話していました。

名詞、動詞どちらでも使えますがカタカナのアピールは「魅力を人々に訴える」のような使い方がされます。

「もっと若い人にアピールしないといけない」「この製品を広くアピールする方法を考えよう」「あの子、すごくアピってる」みたいな使い方です。

英語にもこの感覚に似た使い方がないわけではありません。

Manga appeals to young people.
(漫画は若い人々に魅力がある)

People answered the police’s appeal for help.
(人々は警察の協力の求めにこたえた)

上の2つはわりとカタカナの「アピール」に近い意味で、英語としても決して文法上も間違ったものではありませんが、ネイティブスピーカーはあまりこの意味では使わないそうです。

日本人が使うカタカナのアピールは、英語ではマイナーな用法をメインに使っている点で、英語とずれてしまっているという指摘です。

では、英語ではどのように使うのかは以下のとおりです。

appeal(名詞)

スティーブの言葉をそのまま書くと「set of qualities that people like(人々が好きな品質のまとまり)」みたいな感じです。

人々が好きな「quality(クオリティ/品質)」としての意味が強いという話です。

Franck Muller watches have a lot of appeal.
(フランクミューラーの時計は多くのアピールがある)

You need a certain appeal to be a superstar.
(スーパースターになるためには確かなアピールがいる)

The appeal of living in Hollywood is the chance to meet famous people.
(ハリウッドに住むことのアピールは、有名人と出会う可能性があることだ)

このように名詞でappealを使うと、カタカナの「アピール」と使い方が明らかに異なっています。「この時計はアピールがある」のような使い方がされます。

品質があることは魅力につながっているので「魅力」と考えても大きな間違いはなさそうですが。

appeal(動詞)

こちらも彼の言葉を借りると「request something strongly(誰かに強く要求する)」ことです。

I appealed to my boss for a raise.
(私は上司に昇給を強く求めた)

Police are appealing for help to catch the killer.
(警察は殺人者逮捕の協力を強く求めている)

カタカナで「アピールする」は商品の宣伝、告知のようなニュアンスが色濃いですが、英語では宣伝ではなく明確に強く要求している点で異なります。

ニュースでは世界的に有名な高級腕時計フランク・ミューラーのパロディである「フランク三浦」との裁判が行われた時に登場しました。

Franck Muller said that it has extremely similar wording and claimed Frank Miura’s purpose was to ride the coattails of their reputation and appeal.
(フランク・ミューラー側は「語感が極めて似ている」「信用や顧客吸引力への『ただ乗り』目的だ」と主張していた。)

日本語で解釈するとフランク・ミューラー側は「フランク三浦の目的は、フランクミューラーの評判(reputation)と製品の魅力(appeal)から来る威光・権威(coattails)に乗ることだ」といっています。

日本語の使い方も必ずしも間違いではありませんが、ネイティブがほとんど使わない用法をメインに使ってしまっている点で、表現の自然に欠けて「ん?」とひっかかってしまうような感じでもあるそうです。

appeal(上告する・控訴する)

上にあげたのが日本語のアピールとの違いですが、ニュースなどで用いられるアピールには「裁判で、上位の裁判所に訴えること」を指す場合があります。

appealは裁判用語で「上訴(上告・控訴)する」です。

appeal the decisionの形でもよく用いられます。

They will appeal the decision at the Supreme Court.
(彼らは最高裁に上訴するだろう)

They will appeal to the Supreme Court.
(*上と同じ意味です)

日本は三審制なので地方裁判所の判決に不服だった場合は高等裁判所へ、高等裁判所で不服だった場合は最高裁判所へ新たな判決を求めることができます。

地方裁判所から高等裁判所へは「控訴(こうそ)」、高等裁判所から最高裁判所へは「上告(じょうこく)」と呼んでいます。2つ合わせて「上訴」です。

英語では特に使い分けがなく、appeal to the Supreme Courtのようにアピールする先を具体的に書きます。

Supreme Court(最高裁)やHigh Court(高等裁判所)が一般的な名前ですが、国によって名前が異なります。

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